水痘帯状疱疹(すいとうたいじょうほうしん)ウイルス(VZV)によって引き起こされる発疹性の感染症。VZVはヒトヘルペスウイルスの一種で、生まれて初めてこのウイルスに感染すると水痘になる。子どものうちにかかるケースが大半で、9歳以下での発症が90%以上とされる。VZVは感染力が強く、空気感染、飛沫(ひまつ)感染、接触感染で人から人へとうつる。感染すると約2週間の潜伏期間を経て、かゆみを伴う赤い斑点状の発疹ができる。発疹はその後、水ぶくれになり、最後はかさぶたとなってはがれ落ちる。発疹と同時に発熱やのどの痛みなども出る。子どもの場合は通常10日ほどで治癒するが、まれに重症化し肺炎などの合併症を招く。大人になって初めて発症すると、子どもよりも重症化しやすい。また、妊婦が感染すると胎児が先天性水痘症候群になるおそれがある。水痘は一度かかれば終生の免疫を獲得するが、治癒後もウイルスは体内の神経節内で潜伏を続けて、過労やストレス、加齢などで免疫機能が低下したときに再活性化し、発疹や痛みを伴う帯状疱疹を引き起こす。水痘の予防にはワクチンの接種が有効で、日本では2014年10月に生後12~36カ月の子どもを対象とした定期接種が開始された。そのため、国立感染症研究所の調査によると、15年の患者数は過去10年で最低の水準になったという。