赤痢菌によって引き起こされる感染性の大腸炎。感染症法では三類感染症に指定されている。赤痢菌はヒトやサルの腸内に見られる細菌で、1897年に医師の志賀潔が発見した。この菌に汚染された食物や水を経口摂取することで感染し、1~5日程度の潜伏期間を経て、発熱、強い腹痛、急激で頻繁な下痢などの症状が出る。便に血液や粘液、うみが混ざることが多いのが特徴。赤痢菌は感染力が非常に強く、少量でも感染に至るため、患者の手指や食器などを介した二次感染にも注意が必要になる。日本では衛生環境が悪化していた第二次世界大戦後しばらくの間、年間10万人以上の患者が発生していたが、1965年ごろから激減し、近年は年間1000人前後で推移。その一方で、アジア地域などの衛生設備が不十分な国を訪れた旅行者が、生もの、生水などから感染する例が増えている。ワクチンは存在しないため、入念に手を洗ったり、海外旅行中に生ものや生水を取らないよう気をつけたりすることなどが予防手段となる。