ホテルや旅館に比べて設備が簡素で、料金が安い宿泊施設の一種。法律上は簡易宿所と表記される。「簡宿」と略されることも多い。1948年に施行された旅館業法では有料宿泊施設をホテル、旅館、簡易宿所、下宿の四つに分類しており、簡易宿所は「宿泊する場所を多数人で共用する構造及び設備を主とする施設」で、1カ月以上の期間を単位とする下宿以外のものと規定される。ただし、実際には個室を設置している施設もあり、民宿やペンション、山小屋、カプセルホテルなども簡易宿泊所に該当する。風呂やトイレは共同で食事は提供していないことが多い。東京の山谷地区や横浜の寿地区、大阪のあいりん地区などでは古くから日雇い労働者向けの簡易宿泊所が集中し、俗にドヤ街と呼ばれる。近年では高齢の生活保護受給者などの利用も多い。2015年5月には神奈川県川崎市の簡易宿泊所で建物2棟が全焼する火災が発生し、宿泊客9人が死亡。火元の簡易宿泊所が建築基準法などの基準に沿っていなかった疑いが指摘されている。