飲食物などに含まれる酸によって表面が溶けた歯のこと。口内の原因菌が作り出す酸性物質で歯が溶ける虫歯とは異なる。歯の表面の硬いエナメル質や、その内側にある象牙質は、酸にさらされることで溶けだす。この症状を酸蝕症(さんしょくしょう)と呼び、浸食された歯が酸蝕歯になる。口内環境が中性のとき、pH(ペーハー)の値は7.0だが、酸性に傾いてpHが5.5を下回るとエナメル質が溶け始める。進行すると、歯が黄ばんだり欠けたりして、知覚過敏などの症状を引き起こす。柑橘(かんきつ)系の果物やワイン、炭酸飲料、スポーツドリンクなどの酸性が強い飲食物の頻繁な摂取で起きることが多い。予防には、酸性飲食物の頻繁な摂取や長時間の摂取を避ける、摂取後に水やお茶で口をすすぐ、歯質を強化するデンタルガムやフッ素入り歯磨きの使用などが勧められている。また、酸性度の高いものを摂取した後30分から1時間は歯磨きを控えたほうがよいとされる。