出家すれば、戸籍の名前を変更できる仕組みを悪用し、多重債務者を僧侶に仕立てて名前を変えさせ、多額の住宅ローンをだまし取る詐欺。詐欺グループと結託した宗教法人が、多重債務者を出家させて戸籍の名前を僧侶としての法名に変更。本来、住宅ローンを組めない多重債務者が別人に成り済ますことで住宅ローンを契約。住宅の代金は詐欺グループと手を結んだ不動産屋に支払われるが、本来の物件より金額が水増しされており、水増しした金額を関係者で分配する。分配後、多重債務者は行方をくらまし、住宅ローンの返済を免れるという仕組み。戸籍の名前の変更は家庭裁判所で受け付けるが、仏門に入る人が名前を悪用するなどと考えておらず、書類がそろっていれば、比較的容易に許可されていた。近年、檀家が少なくなり、経営難に陥っている寺が増えており、そうした寺の僧侶と多重債務者を仲介するブローカーも存在する。2013年6月25日、大津市の宗教法人、定光坊の僧侶らが計約1億円の融資金をだまし取ったとして逮捕され、その手口が明らかになった。