感染性胃腸炎や食中毒の原因となり激しい嘔吐(おうと)や下痢を引き起こすノロウイルスの中で、神奈川県川崎市で初めて検出された遺伝子型のノロウイルス。ノロウイルスには遺伝子配列が異なる数多くの型が存在し、そのうち人間が感染するものは約30種類ある。日本では従来、「GII・4」という型が主に流行してきた。2014年3月、川崎市健康安全研究所で感染性胃腸炎患者の糞便(ふんべん)検体から「GII・17」型が変異した未知のウイルスを検出。世界でも初めての確認となり、国際的に新規遺伝子型であることが認められた。同研究所と国立感染症研究所などのグループが同年10月から半年間、同市や長野県、埼玉県、栃木県で検出されたノロウイルスを調べたところ、15年に入ってから新型の感染が拡大していたことが判明。その後、三重県でも検出が報告され、全国的な流行が推察されている。また、この新型は中国などアジア諸国で検出数が増加しているほか、アメリカなどでも確認された。新型に対しては免疫を獲得していない人が多いと予測され、15年冬以降に大流行するおそれがあるとして、国立感染症研究所などが警戒を呼びかけている。