紙パックやペットボトルに無菌状態で密閉された乳幼児用の液体ミルク。手軽に持ち運びすることができ、衛生的で使いやすいことから、欧米では広く普及しており、スーパーやドラッグストアなどで簡単に買うことができる。また、水不足でお湯が沸かせない、ショックで母乳が出ないといった事態が起こり得る災害時にも有用。1995年の阪神・淡路大震災のとき、乳児用ミルク不足になったことで注目され、2011年3月に発生した東日本大震災のときには、海外から支援物資として被災地に送られていた。日本では、食品衛生法に基づいて乳製品の成分や製造基準を定める、厚生労働省の「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令」が乳児用ミルクを粉ミルクに限定しており、国内では液体ミルクを製造販売することができない。個人輸入は可能だが、送料がかさむこともあって容易には利用できなかった。09年には、国内の乳業関係者が液体ミルクの製造解禁を厚生労働省に要望したが、衛生面の安全性を示すデータが提出されておらず、中断した形になっている。こうした状況を受け、15年12月8日には、横浜市の主婦らを中心とした、乳児用液体ミルクの国内流通を目指す「乳児用液体ミルク研究会」が発足している。