農業分野での障害者の就労を進めようという試み。農林水産省の農林水産省政策研究所では、農業サイドと福祉サイドが連携し、農業分野で障害者などが働く場所づくり、あるいは居場所づくりを実現しようとする取り組みの総称としている。各都道府県や市町村などでも、事業の推進に向けた動きを活発化させている。たとえば香川県では、NPO法人香川県社会就労センター協議会が窓口となって、福祉事業所と農家との間で就労のマッチングを行っている。こうした動きを背景に、厚生労働省は2016年度予算案で、「農福連携による障害者の就農促進事業」に1億1000万円を計上した。同省が農福連携に特化した事業を手掛けるのは初めてとなる。JA関係者やベテラン農家など、農業技術や6次産業化に向けた指導や助言ができる専門家を農業施設に派遣したり、農産物や加工品のマルシェ(即売会)の開催費用を補助したりする。高齢化や後継者不足に悩む農家の悩みを解消し、安定した収入を確保して自立した生活を目指す障害者の雇用機会を増やすことにつなげていく。同省では、20年に開催される東京オリンピック・パラリンピックを視野に、外国人観光客に向けて農福連携をアピールしていく考え。