モントリオール議定書は、1987年にオゾン層を保護するための国際的な枠組みとして採択され、89年に発効した議定書。オゾン層を破壊する物質を特定し、生産や消費を規制することを目的とする。正式名称は、「オゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書」。2030年までにオゾン層を破壊する特定フロンなどの生産、消費を全面禁止することを定めている。2000年ごろから、特定フロンに代わり、冷蔵庫やエアコンの冷媒などに用いられるようになったのが代替フロンのハイドロフルオロカーボン(HFC)。HFCは塩素を含まないためオゾン層を破壊しないが、温室効果が二酸化炭素の数百倍から数千倍強い。そのため、09年から規制が議論されてきた。16年10月15日、ルワンダの首都キガリで開催されていたモントリオール議定書第28回締約国会議(MOP28)では、議定書を改定し、HFCを規制対象に追加して、段階的に生産規制することで合意した。日米などの先進国グループは19年から段階的な削減を開始し、36年までに、基準となる11~13年の年平均と比べ、二酸化炭素に換算して85%削減する。中国や途上国は20~22年の年平均を基準に24年から規制を始め45年までに80%、インドや中東産油国などは24~26年の年平均を基準に28年から規制を始め47年までに85%削減する。日本ではHFCの生産や消費を具体的に規制する法律がないため、今後関連法の改正を進めていく予定。