動物から採取した精子や卵子、受精卵から発生した胚などをマイナス196℃の液体窒素で冷凍保存する施設のこと。配偶子バンクとも呼ばれる。動物園からいなくなる可能性がある動物の国内繁殖を目指すほか、希少な野生動物の絶滅にも備える試みとして注目されている。世界で最も積極的に活動を行ってきたのはアメリカのサンディエゴ動物園内にある施設で、1976年から冷凍保存を行っている。また、イギリスの英国自然史博物館では、2004年からロンドン博物学協会、ノッティンガム大学と協力し、国際自然保護連合(IUCN)の希少動物リストに基づいて、絶滅危惧種のDNAや組織サンプルを冷凍保存する活動を行っている。日本での取り組みは、神戸大学の楠比呂志准教授が1993年に研究室内に配偶子バンクを設置したのが最初とされる。2014年3月には、日本動物園水族館協会(JAZA)が神戸大学と提携して、よこはま動物園ズーラシア(横浜市旭区)内にある横浜市繁殖センターに、動物の生殖細胞を保存するタンクを設置した。JAZAでは、15年度にも、仙台市八木山動物公園(仙台市太白区)に神戸、横浜に続く国内3カ所目の施設を設置する。このほか、13年8月には、京都大学と京都市動物園の研究チームが、一般的に用いられる液体窒素ではなく、フリーズドライ技術を用いて精子を保存し、人工授精に活用する配偶子バンクを設立している。