パチンコや競馬など、ギャンブル(賭博)にのめり込む嗜癖(しへき)障害で、ギャンブルへの衝動を自分でコントロールできない状態を指す。いわゆるギャンブル依存症で、「国際疾病分類(ICD-10)」では、病的賭博と呼ばれている。ギャンブル障害は、アメリカの精神医学会による「精神疾患の診断と統計の手引き第5版(DSM-5)」で、はじめて診断基準が定義された。家族や友人などとの対人関係や学業、仕事よりもギャンブルを優先するようになり、ギャンブルに費やす時間や賭け金の額などが増大する。中断すると、落ち着きがなくなり、いらだつなど、精神的に不安定になるケースもある。最終的には、借金や失職、家族不和を含めた対人関係の破綻、うつ状態など、経済的、社会的、精神的な危機に陥る。また、依存症であることを自ら認めることができず、非難や忠告をされても自分の意志や理性ではやめることができなくなる。治療方法はまだ統一されていないが、精神科での認知行動療法や薬物療法などで有効なものもある。最近では、北里大学東病院(神奈川県相模原市)をはじめ、民間の精神科医院でも、ギャンブル障害専門外来を開設するところが出てきた。2013年7月に、厚生労働省研究班が成人約4000人に面接調査を実施。14年8月20日に発表した調査結果によると、疑いのある人が推計で成人全体の4.8%に当たる536万人に上ることがわかった。男性に限ると8.7%、438万人を占め、世界的にみても際立って高い数値を示している。