感染症の中で、国民の生活や健康に重大な影響を与えるおそれがあるとして国が特別に指定した疾病。伝染病予防法に替わって1999年4月に施行された「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」(感染症法)では、症状の重さや感染力、感染経路によって、感染症を1~5類に分類し、それぞれに対応可能な措置を定めている。また、この分類とは別に、緊急的対応が必要な感染症については、政令によって最大2年間の期限つきで指定感染症とすることができる。指定感染症に定められると、感染が疑われる人に対して都道府県知事が検査を受けさせることや公費で入院させること、食品の製造販売や接客などへの就業を、一定期間制限することが可能になる。検査の拒否には6カ月以下の懲役、または50万円以下の罰金が、就業制限への拒否には50万円以下の罰金が科される。2013年4月には、中国で発生したH7N9型鳥インフルエンザを指定感染症とすることが閣議決定され、同年5月に政令が施行された。03年7月の重症急性呼吸器症候群(SARS)、06年4月のH5N1型鳥インフルエンザに続き、3例目の指定となる。