水痘(水ぼうそう)患者の水疱(すいほう)から分離された水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)というヘルペスウイルスの病原性を弱めた弱毒生ワクチン。1974年に大阪大学微生物病研究所の高橋理明(みちあき)助教授(当時)が世界で初めて開発に成功し、以来世界中で水痘の予防に用いられている。水痘はVZVによる伝染性の強い感染症で、冬から春にかけて多く発生する。主に感染者の水疱や飛沫から伝染し、潜伏期間は11~20日程度とされる。発症すると発熱し、全身に発疹ができ、半日くらいでかゆみの強い水疱となる。厚生労働省によると、乳幼児を中心に年間100万人が感染し、4000人程度が入院、20人程度が死亡していると推定されている。また、成人では重症化しやすい傾向がある。予防には小児用ワクチンの接種が有効で、日本小児科学会では2回接種を推奨しているが、1回の接種でも80~85%発症が抑えられ、重症化をほぼ100%防ぐことができる。従来はワクチンの接種は任意(1回)だったため、接種率が30%以下にとどまっていたが、2013年12月24日、同省は予防接種法の施行令を改正し、小児用ワクチンを自治体が実施する定期接種に加えることを決めた。対象は1~2歳児で、6カ月以上の間隔で2回接種。ほとんどの自治体で、無料で接種することができる見通し。14年秋からの実施を目指している。