死因などが明らかではない変死体について、解剖して調べる法医解剖における分類。司法解剖は、犯罪に関係がある、またはその疑いがある死体について、裁判上の証拠を得るために死因や死後経過時間、創傷の有無や部位などを調べるもの。刑事訴訟法に基づき、裁判所や検察などが資格を持つ法医学の専門家に嘱託して実施され、解剖に際して遺族の承諾は要さない。嘱託されるのは、医科大学系の法医学専門家であることが多い。一方の行政解剖は、事故や感染症、自殺、行き倒れなどで死亡した疑いがある死体について、公衆衛生上の目的や身元確認のために行われる解剖のこと。東京、大阪などの大都市には、死体解剖保存法に基づいて専門の監察医が置かれ、解剖にあたる。監察医制度のない地域で同様の解剖を行う場合には、遺族の承諾が必要な承諾解剖(準行政解剖)となる。法医解剖を行う専門家は人材不足の状況が続いており、2015年3月時点で、全国47都道府県のうち、約半数で司法解剖を担う医師が1人しかいない。同月には、従来担当してきた医師の転出により青森県と鳥取県で解剖医が不在となり、県内で司法解剖が行えずに隣県の大学に委託しなければならない事態になった。