食品中で増殖した食中毒性ウェルシュ菌を摂取することで引き起こされる感染症。ウェルシュ菌は土壌や河川など自然界に広く分布するグラム陽性の桿菌(かんきん)で、人や動物の腸内にも常在する。この菌の一部の種類が産生する毒素は人に下痢や腹痛を起こす。潜伏期間は6~18時間で、嘔吐(おうと)や発熱はほぼ見られず、通常は1~2日で回復する。ウェルシュ菌は熱に強い芽胞という構造物を作ることができるため、加熱調理では死滅しない。そのため、カレーやシチューなど、大量に長時間煮込んで作る料理でも食中毒の原因となる。給食や仕出し弁当など、前日に大量調理された料理で食中毒の原因になることが多いことから、給食病と呼ばれることもある。調理後すぐに食べること、保存するときは常温のままにせずに急速に冷却することなどが予防に有効とされる。