国民健康保険など公的医療保険の加入者が、海外滞在中に現地の病院に支払った医療費について、その一部を支給する制度。現地の医療機関から治療内容や支払った医療費を証明する書類を受け取り、帰国後に加入している健康保険に申請すると、審査を経て受給できるという仕組み。給付額は、日本国内の保険医療機関を受診した場合に給付される額が標準となる。例えば、日本国内で同じ治療を受けたときよりも高額の費用がかかった場合には、日本の診療報酬点数を基準に算出した額から自己負担分を控除した額が支給されるため、差額は持ち出しとなる。申請期限は治療費を支払った翌日から2年以内。公的医療保険とは別に民間保険会社の旅行傷害保険などから保険金の給付を受けた場合でも、海外療養費を申請することは可能。ただし、日本国内で保険が適用されない臓器移植や人工授精などの不妊治療、性転換手術、美容整形などについては対象外となる。また、治療目的で渡航した場合も支給されない。なお、国民健康保険に加入している外国人も利用できるため、一時帰国時などに治療を受けたと虚偽の申請を行い、自治体などから海外療養費を不正受給する事件も発生している。