手紙など、特定の差出人から特定の受取人にあてて意思などを通知する文書のこと。郵便法および信書便法(民間事業者による信書の送達に関する法律)では、「特定の受取人に対し、差出人の意思を表示し、又は事実を通知する文書」と定義されている。通信の一種であり、その秘密は憲法で保護される。総務省の指針では、一般的な書状に加え、請求書や領収書、申請書、許可書、証明書などは信書に該当する。一方で、書籍やカタログなどは信書とされない。また、電磁的記録物も信書には該当しない。許可のない事業者が信書を配達すると、事業者や差出人に最高で3年以下の懲役、または300万円以下の罰金が科せられる。信書の配達事業は長年、国が独占してきたが、2003年4月に信書便法が施行され、民間企業の参入が認められた。同法では、信書について、配達サービスの全国提供を義務付けた一般信書便と、バイク便など地域限定の営業も可能な特定信書便に分類。特定信書便については民間企業の参入が進む一方で、一般信書便については、全国およそ10万カ所にポストを配置する必要があるなど参入条件の厳しさから、事実上、日本郵便(本社・東京都千代田区)の独占状態が続いている。15年1月、宅配便大手のヤマト運輸(本社・東京都中央区)が「クロネコメール便」のサービス提供を同年3月末で廃止すると発表した。1997年に全国展開を開始した同社のメール便は、A4サイズで厚さ2センチメートルまでの荷物を配送し受取人のポストに投函するサービスで、信書は扱えないが、価格の低さなどから法人によるカタログ送付などを中心に利用されてきた。しかし、差出人がメール便に信書を同封するなどして、警察に書類送検や事情聴取を受けるケースが2009~13年に8件発生。同社は廃止の理由について、法違反の認識のない客が罪に問われるリスクを避けるためと説明している。