刑務所や拘置所、少年院、少年鑑別所などの矯正施設に常勤し、収容者の診察、治療、健康管理などを行う医師。人員不足が深刻な状況にあり、2015年1月時点での勤務医数は定員327人に対して252人と過去最少を記録。全体の約23%にあたる75人の欠員が生じている。人員不足の背景の一つは、矯正医官が国家公務員であるため、兼業が原則として禁止されていること。そのため、民間医療機関の勤務医のように、経験を積んだり新たな技術を習得したりする機会が得にくく、医師から敬遠されやすい。また、民間との給与格差も大きく、平均月収は民間の一般医師に比べて20万円以上低いという。矯正医官の不足は、受刑者の病気やけがへの緊急対応を困難にし、外部の医療機関に移送する際に逃亡を防ぐため刑務官を複数同行させる必要があるなど、矯正施設の運営への影響が少なくない。こうした状況の改善に向け、法務省では特例法案の作成に着手。法案は、兼業を許可する手続きの緩和、フレックスタイム制の導入、定年の引き上げなどを柱とする。同省では、15年1月26日に召集された通常国会への法案提出を目指している。