利用の効能が期待でき、保養地としても良好な環境にあるとして環境大臣が指定する温泉地。温泉の保護や適正な利用などを目的として1948年に温泉法が公布され、同法に基づいて52年に国民保養温泉地制度が創設された。同法の第29条では、環境大臣(制度創設当時は厚生大臣)は「温泉の公共的利用増進のため、温泉利用施設の整備及び環境の改善に必要な地域を指定することができる」としている。54年10月に第1回の指定が行われ、青森県の酸ヶ湯(すかゆ)、栃木県の日光湯元、群馬県の四万(しま)の3カ所が選ばれた。2002年までに全国で91温泉が指定されている。一方、12年には多様化する利用者のニーズに対応すべく指定基準が改定され、温泉の泉質や湧出量に関する条件、温泉地の自然環境に関する条件のほか、まちなみや歴史、風土、文化等の観点からも保養地に適していること、5年ごとに温泉地計画を策定することなどが盛り込まれた。15年5月には、神奈川県箱根町にある芦之湯温泉が、江戸時代の湯治場「箱根七湯」の一つであることなどを理由に全国92カ所目の指定を受けている。