一度では骨折にいたらない程度の負荷が、同じ部位に繰り返し加わることで起こる骨折。ストレス骨折ともいう。かつては、軍隊における長時間の行軍が原因で起こることが多かったため行軍骨折とも呼ばれたが、現在ではスポーツ活動を原因とする例がほとんど。体重がかかる足の骨に発生することが多く、度重なる負荷によって徐々に骨にひびが入っていき、外傷の覚えがないのに運動時に痛みが生じるようになる。安静時には痛みが軽くなることもあるが、その状態で無理に運動を続けると、完全な骨折にいたるおそれもある。スポーツの種類によって起こりやすい部位が異なるのも特徴で、短距離走やバスケットボールなどでは脛骨に、長距離走やサッカーでは足の甲の中足骨に、野球やゴルフでは肋骨に発生することが多い。骨折の初期にはX線検査では異常が認められないケースもある。治療では通常、ギプスなどによる固定はなされず、原因となった運動を2~3カ月程度行わないようにする。同一部位に反復的に負荷がかかる単調なトレーニングや、個々の体力、技術を無視して過剰な負荷をかける誤ったトレーニングを行うと発生しやすい。特に、筋肉などが発達途上にあり、部活動などで激しい運動をする中学生、高校生がなる例が多く、1996~97年に行われた調査では、この世代の発生事例が全体の約8割を占めた。