土壌や河川水、ほこりなど、自然環境中に広く分布する細菌。酸素があってもなくても生育・増殖できる通性嫌気性で、過酷な環境下では、芽胞と呼ばれる殻を形成し、熱や乾燥への抵抗力が強くなる。コメや小麦を原料とした食品などで増殖し、食中毒を引き起こすことがある。症状によって、セレウス菌が食品中で産生した毒素による嘔吐型と、食品とともに摂取されたセレウス菌が小腸内で産生する毒素による下痢型の2種類に大別される。食品中では芽胞を作って生存するため、調理過程の加熱でもなかなか死滅しない。食中毒が重症化することはまれだが、抵抗力の落ちた高齢者などが感染すると敗血症などに至ることもある。調理前に穀物や野菜をよく洗う、手や調理器具を衛生的に保つ、食品を常温で長時間保存しないなどが感染予防に有効。2013年8月には、国立がん研究センター中央病院(東京都中央区)が、入院中の患者13人がセレウス菌に感染し、そのうち2人が死亡したことを発表した。