色を見たときの感覚や感度が通常とは異なる状態。遺伝によって起こる先天色覚異常と、なんらかの病気などを原因とする後天色覚異常に大別される。全ての色は赤、緑、青の三原色光によってつくられているが、網膜の錐体細胞の異常によって、それらの光に対する感覚が欠落していたり、感度が弱かったりすることで起きる。色の区別がまったくできない場合から、特定の色のみ識別しにくい場合まで、程度は人によって異なる。先天色覚異常は、男性で20人に1人、女性で500人に1人の割合で見られ、赤と緑の区別がつけづらいケースが多い。先天色覚異常に対する有効な治療法は存在しないが、日常生活には支障をきたさないことが多い。ただし、飛行機や船舶の操縦士、鉄道の運転士などは、安全上の理由で就業できないことがある。色覚検査は1958年に小学校の定期健診の必須項目になったが、その後、「差別の温床になる」などの批判を受けたため、2003年度に必須項目から外された。13年9月に日本眼科医会が発表した調査によると、色覚異常の子どもの約半数が進学や就職のための健診まで異常に気づいていないという。