病気や早産などが原因で母乳が出ない母親に代わり、別の女性から集めた母乳を提供する施設。早産で2500グラム未満の低出生体重児、いわゆる未熟児の場合、壊死性腸炎や未熟児網膜症などの病気になるリスクが高い。こうしたリスクを下げるために、豊富な栄養素と免疫成分が含まれる母乳を出生後2~3日以内に飲ませることが有効とされる。特に、未熟児を出産した母親の母乳は、十分に発育した新生児を出産した母親の母乳より免疫成分が豊富なため、早産であっても母乳が多く出る母親の協力が求められている。母乳バンクは、欧米やブラジル、中国など、約40カ国で整備され、広く普及している。2013年10月には、昭和大学小児科(東京都品川区)に、学内の倫理委員会の承認を得て、日本初の母乳バンクが設置された。同施設では提供された母乳を検査し、ウイルスなどの感染症がないことを確認した後、低温殺菌処理をしてマイナス70度で冷凍保存し、必要とする新生児に与える。