女性の性欲減退を改善する医薬品「フリバンセリン」(商品名アディ)のこと。もともと、抗うつ剤としてドイツの製薬会社が開発を進めていたが、臨床試験で性欲向上の効果が確認され、2011年にアメリカの製薬会社スプラウト・ファーマシューティカルズが研究開発を受け継いで製品化。15年8月にアメリカの食品医薬品局(FDA)によって、女性用の性的欲求低下障害(HSDD)の治療薬として認可された。FDAが同障害の治療薬を認可したのは男性用も含めて初めて。男性の性機能不全治療薬として知られるシルデナフィル(商品名バイアグラ)は、男性器への血流を増加させて勃起不全(ED)を改善するのに対し、フリバンセリンはドーパミンなど性欲に関わる神経伝達物質の分泌に働きかける。閉経前の性欲が減退した女性が対象で、医師の処方を受けて1日1回服用する。治験では、偽薬を服用した人と比較して平均で月0.5~1回、性的な満足を得られる回数が増加したという。低血圧、失神、めまい、吐き気などの副作用があり、アルコールやホルモン避妊薬と同時に服用すると深刻化しやすい。