ある病気治療のために作られた既存薬から、別の病気に対する新しい効能を見つけること。ドラッグリプロファイリングとも呼ばれる。製品として発売された薬だけではなく、過去に開発段階で中断した薬も対象とする。開発開始時点で、基礎的な研究データが存在し、人に使用した際の安全性や副作用の情報もある程度そろっているため、新規開発に比べて、開発コストや開発失敗のリスクを低減することができる。新薬開発のペースが鈍る近年、アメリカの製薬会社を中心に研究が盛んになっている。解熱、鎮痛薬のアセチルサリチル酸(商品名・アスピリン)から生まれた、心筋梗塞(こうそく)、狭心症の予防薬バイアスピリンや、高血圧治療薬として作られ、のちに発毛剤としての作用も確認されたミノキシジルなどが代表的。こうした薬は従来、想定外の副作用や偶然によって発見されていたが、現在は、既存薬の分子構造などをデータベース化して、コンピューターで新しい効能を探る試みも活発化している。