人間や動物の腸管に住む多種多様な腸内細菌の集まり、生態系のこと。腸内細菌叢(さいきんそう)とも呼ばれる。人間の場合、胎児のときには腸内細菌を持たないが、生後に母親から受け継ぐなどして徐々に腸管内に細菌が定着し、腸内フローラが形成されていく。成人の腸管内には500~1000種類、100兆個もの細菌が住みついているとされるが、その構成は年齢や食習慣によって一人ひとり異なる。近年、腸内フローラの構成バランスが健康状態と大きな関わりがあるとして注目を集めており、偏った食生活や抗生剤の多用などでバランスが乱れると、炎症性の腸の病気やアレルギーなど様々な病気につながることが指摘されている。2013年にはアメリカの研究チームがマウスを使った実験で、腸内フローラが肥満に関与するとした研究成果を報告。また、欧米では腸炎などの患者に健康な人の便を移植し、腸内フローラの構成バランスを改善する便微生物移植(糞便移植)の研究が進められており、日本でも14年3月に慶應義塾大学病院が潰瘍性大腸炎の患者に移植を実施した。