外傷や神経の損傷後に慢性的な疼痛が続く疾患。国際疼痛学会(IASP)による命名であり、従来、反射性交感神経性ジストロフィー(RSD)やカウザルギーと呼ばれていた病態を含む。骨折や打撲などの外傷や、心筋梗塞、脳卒中などの病気、手術などをきっかけとして発症することが多いが、原因不明のケースも約10%ある。原因となった損傷とは不釣り合いな強さの痛みが長期間にわたって続くのが特徴で、局所的な浮腫、皮膚や骨の萎縮、発汗の異常などの症状を伴う。疼痛は手足に出ることが多く、重度の場合には関節の可動が制限されて歩行が困難になることもある。2009年12月に2種類の販売が開始された子宮頸がんワクチンの接種を受けた人に、副反応(ワクチン接種後に生じる、ワクチン由来の発熱や発疹などの症状)と考えられる健康被害が相次いで報告されているが、その中には複合性局所疼痛症候群と診断されたケースも5例含まれる。因果関係は不明なものの、厚生労働省の専門家会議はワクチン接種との関連性を否定できないとしている。