病気を持つ女性の卵子から遺伝子を含む核を取り出し、健康な女性から卵子の提供を受けて、核を置き換える形で移植する体外受精技術(in vitro fertilization ; IVF)。3方向IVFとも呼ばれる。遺伝性のミトコンドリア病の予防などを目的とするもので、2015年2月24日、イギリス上院議会で同技術の導入を認める法案が可決、成立。世界で初めて合法化された。ミトコンドリア病は心臓病や精神症状、発達の遅れなどを起こす病気で、母親から子どもに受け継がれるミトコンドリア遺伝子の異常が原因となる。そこで、異常があるミトコンドリア遺伝子の核を健康な女性から提供された核と交換することによって病気を予防する技術として、卵子核移植が注目されることとなった。卵子ではなく、受精卵の段階で移植することも可能。この技術によって生まれた子どもは、父親と母親の遺伝情報に加えて、卵子を提供した女性の遺伝情報も受け継ぎ、遺伝的に3人の親を持つことになる。安全性や倫理上の問題から、イギリス国教会、カトリック教会などが抗議しており、親が望む性質を持ったデザイナーベビーを作り出すことにつながるとして導入に慎重な意見も多い。