母親が新たに子どもを出産して育児休業を取得した場合、保育園(所)に預けている上の子どもをいったん退園させること。このことが注目を集めたのは、埼玉県所沢市が2015年4月から0~2歳の在園児について導入したことによる。同市では待機児童の解消のため、育児休業中は家庭での保育が可能だとして、在園を継続できる条件を以下の場合に限定。(1)生まれた子に特定の疾患がある場合、(2)母親に疾病や障害がある場合、(3)双子以上の出産、(4)混合保育により入園していて継続保育が必要な場合、(5)在園児の家庭における保育環境の状況から、引き続き保育所を利用することが必要な場合、の5項目とした。該当しない場合は、出産後翌々月末までに退園しなければならない。これに対して、6月25日、同市の保護者11人が市を相手に退園の差し止めを求める行政訴訟をさいたま地方裁判所に提起。7月2日には7人が追加提訴し、原告は計18人となった。厚生労働省は02年の通知で、就学を控えた5歳児や、子どもの発達上、環境の変化が好ましくない場合は継続通園して差し支えないとしてきた。15年4月からスタートした国の子ども・子育て支援新制度では、育児休業取得中も保育園を継続利用できることを明確化。解釈や運用は各自治体の裁量に任されているが、大多数の自治体が原則として継続在園を認めている。