ユニセフ(UNICEF 国連児童基金)が2016年4月14日に発表した、先進諸国における子どもたちの幸福度の格差に関する報告書。この報告書では、欧州連合(EU)または経済協力開発機構(OECD)に加盟する41カ国について、「所得」「学習到達度」「主観的な健康状態」「生活満足度」の4分野で、一番厳しい状況に置かれた子どもたちが平均的な子どもたちからどの程度取り残されているか(底辺の格差)を順位付けしている。「所得」分野では、所得階層のちょうど真ん中(中央値)にあたる子どもの世帯所得と、下から10%めにあたる子どもの世帯所得を比較し、そのギャップを算出する。「学習到達度」分野では、OECD諸国が実施するPISA(学習到達度調査)において、到達度が中央値に位置する子どもと、下から10%めにあたる子どもとのギャップを指標化する。「主観的な健康状態」「生活満足度」分野では、世界保健機構(WHO)が実施する学齢児童の健康動態調査などのデータをもとに、健康問題を訴える頻度や生活満足度が平均的な子ども(中央値)と、中央値以下のすべての子どもの平均値とのギャップを指標化する。全分野の総合的な結果は、2分野以上の指標が不足している6カ国を除いた35カ国中、1位がデンマーク、最下位はイスラエルとなった。日本の順位は「所得」が41カ国中34位で、下から10%めの子どもの世帯所得は中央値の子どもの4割に満たないことが明らかになり、底辺の格差の深刻さが露呈した。「学習到達度」は37カ国中27位。「主観的な健康状態」「生活満足度」は、統計データに日本のデータが含まれていないため順位がつかず、このため総合ランキングも対象外となっている。報告書では、子どもたちの幸福度を高めるため、各国政府に対して、(1)最も貧しい子どもたちの世帯の所得の改善、(2)不利な状況に置かれた子どもたちの学習到達度の向上、(3)すべての子どもたちに対する健康的な生活習慣の促進、支援、(4)主観的な幸福度の重視、(5)公平性を子どもの幸福度の課題の中心に位置づける、といった取り組みを提言している。