精神障害などのために、容疑者の刑事責任能力が問えない可能性がある場合、精神・心身の状態を鑑定するために、期間を定めて病院その他の施設で身柄を拘束すること。検察などの捜査機関が裁判所に請求し、認められた場合に実施される。多くは容疑者段階で請求されるが、起訴後の被告人も対象となる。鑑定留置が認められると、容疑者の勾留は停止され、身柄を病院等の施設に移して、鑑定医が事件当時の精神状態などを調べる。鑑定の結果は、検察が起訴するかどうかの判断材料になるほか、公判でも責任能力の有無や程度を判断する際の参考とされる。2009年の裁判員制度導入後、鑑定留置の実施件数が急速に増加し、08年には全国で242件だったが、14年には過去最多の520件、15年は483件となっている。16年7月26日に神奈川県相模原市の障害者施設「津久井やまゆり園」(同市緑区)で起こった殺傷事件でも、植松聖容疑者に対する鑑定留置が検討されている。