法律で定められた就業最低年齢を下回る年齢の児童によって行われる労働。そうした児童を労働に従事させることは、成長途上にある身体や精神に深刻な悪影響を及ぼし、教育の機会を阻害する。年少者による労働は、歴史上、古くから行われてきたが、産業革命以降、徐々に社会問題として認識されるようになり、各国で法規制が進んだ。また、1919年には国際労働機関(ILO)が開いた第1回総会で、14歳未満の児童の雇用禁止が決議された。同機関は73年に、全産業を対象として就業最低年齢を原則15歳とする条約を採択(日本は2000年に批准)。さらに、1999年には人身売買や強制的な兵役、売春などを「最悪の形態の児童労働」と定め、18歳未満の児童がこうした労働に就くことを禁止する条約を採択した(日本は2001年に批准)。ただ、こうした取り組みが続いてきたにもかかわらず、貧困や教育への軽視などから、世界各地で児童労働は根強く残っている。ILOの発表によると、12年の世界の児童労働者数(5~17歳)は約1億6800万人に上り、そのうち半数以上が健康や安全、道徳を害するおそれがある危険有害労働に従事しているという。地域で見ると、アジア太平洋地域とサハラ以南のアフリカに多く、産業別には農業の割合が最も高い。14年10月には、児童労働撲滅の活動を続けてきたインド出身の人権活動家カイラシュ・サティアルティが、ノーベル平和賞を受賞した。日本では、労働基準法によって原則的に15歳未満の就業を禁じている。