自動車の運行で生じた人身事故に対する損害賠償についての責任などを定めた法律。事故被害者の救済と、自動車運行の健全な発達を目的として、1955年7月に公布され、同年12月に施行された。略称は自賠法。同法第3条では、 (1)所有者、運転者が自動車の運行に関して注意を怠らなかったこと、(2)被害者、または運転者以外の第三者に故意、過失があったこと、(3)自動車に構造上の欠陥、機能の障害がなかったことの三つを証明しない限り、自動車の所有者や運転者は損害賠償の責任を負うと定めている。また、同法では、加害者の賠償能力確保のため、全ての自動車に自動車損害賠償責任保険(自賠責保険)か自動車損害賠償責任共済の契約締結を義務づけた。このほか、ひき逃げ事故や無保険車による事故など、加害者による損害賠償がなされない場合の被害者救済のため、政府による自動車損害賠償保障事業についても定めている。2012年4月に福井県内の国道で居眠り運転のためセンターラインをはみ出した乗用車が対向車と正面衝突した事故について、第一審の福井地方裁判所は15年4月、対向車側の無過失が証明できないとし、対向車の運転手に約4000万円の損害賠償を命じた。この判決は、いわゆる「もらい事故」の形で衝突された側にも賠償責任を認めた。同月、被告側は名古屋高等裁判所金沢支部に控訴した。