発生率が低く、症例が極端に少ないがんの総称。骨や筋肉など様々な部位に発生する肉腫(サルコーマ)、悪性脳腫瘍(のうしゅよう)、皮膚がんの一種である悪性黒色腫(メラノーマ)、目などにできる眼腫瘍、小児がんなどが該当する。アメリカでは年間発生数が人口10万人あたり15例未満、ヨーロッパでは10万人あたり6例未満が希少がんと定義されている。日本では、後者の基準が用いられる。胃がんや肺がん、大腸がんなど症例が多いがんと比較すると、発生率は数十分の一から数百分の一程度。それぞれの患者数は少ないが、希少がんに含まれるがんの種類は数多く、全ての希少がんを合わせると患者数はがん全体の15~20%を占める。がんは種類によって治療法が異なるため、症例が少ない希少がんは診断や治療が難しく、専門的な診療ができる医療機関も少ない。また、患者自身による情報収集にも困難が伴う。こうした状況を改善するため、2012年に政府が策定した第2期がん対策推進基本計画では初めて希少がん対策が盛り込まれ、14年6月、希少がんの治療、研究を専門的に行う希少がんセンターが国立がん研究センター内に開設された。同センターには希少がんホットラインも設けられており、患者や医療関係者からの相談にも応じている。