ムンプスウイルスの感染によって発熱や頭痛、耳の下の腫れなどが起こる感染症のこと。ムンプスと呼ばれることもある。接触、または飛沫によって感染する。流行のピークは冬から早春にかけてだが、年間を通じて発生する。幼児期、学童期にかかることが多く、2~3週間の潜伏期間を経て発熱、頭痛などが起こり、続いて耳の下にある唾液(だえき)腺が腫れて、食事のときなどに痛みを感じるようになる。腫れは両耳の下に出ることが多いが、片側だけのケースもある。「おたふく風邪」は俗称で、この腫れによっておたふくのような特有の顔つきになることに由来している。通常は1~2週間で回復するが、まれに髄膜炎、脳炎、膵炎(すいえん)、難聴などの合併症を引き起こすことがある。また、大人がかかると子どもよりも重症化しやすく、成人の場合には精巣炎、卵巣炎を起こすこともある。予防にはワクチン接種が有効で、1歳以上でおたふく風邪を発症したことがなければ、年齢にかかわらず任意で接種を受けることができる。なお、この感染症は一度かかると終生免疫を得る。