大災害の発生を想定して、あらかじめ復興しやすい環境を整えておくこと。明確な定義はないが、減災や防災まちづくりの一環として、被害を最小限に抑えるための都市計画などを推進することに加え、被災後、早急に復興するための方針や手順、組織などを明確にしておくことを含む。1995年に起きた阪神・淡路大震災の復興で、被災地の区画整理や再開発をめぐって行政と住民との交渉が難航したことを教訓に提唱された。その後、東日本大震災の被災地でも復興が順調に進まない実態から再び注目されるようになり、2012年7月には内閣府の有識者会議が「計画的な復興に備えることが重要」という提言を行った。首都直下地震に備えるため、阪神・淡路大震災をきっかけに事前復興の取り組みを始めた東京都では、13年9月時点で36の地区が取り組みを実施。また、南海トラフ巨大地震が発生した場合に、津波などの被害が予想される四国でも、徳島県美波町の住民らが事前復興の考え方を取り入れ、被災後の高台移転計画を検討している。