脳や脊髄(せきずい)を保護する髄膜が炎症を起こす髄膜炎のうち、髄液の中に細菌が認められない感染症。病原体となるのはウイルスやマイコプラズマ、寄生虫などだが、ほとんどはウイルスが原因で、なかでもエンテロウイルスによるものが全体の約85%を占める。その場合、一般的に発熱、頭痛、嘔吐(おうと)などの症状が出るほか、首の後ろが硬くなって前方に曲げにくくなる項部硬直が起こる。エンテロウイルスを原因とするものは、主に飛沫や経口で感染し、夏季に増加する傾向にある。髄液中に細菌が認められる細菌性髄膜炎と比較すると、症状は軽い場合が多く、通常は入院して対症療法を行い、大半は1~2週間程度で治癒する。子どもに多く見られる感染症だが、成人でも感染、発症することがある。