全ての国民が、障害の有無によって分け隔てされることなく、相互に人格と個性を尊重しながら共生する社会の実現を目的とした、障害者基本法の第4条(差別の禁止)を具体化した法律。2006年12月に国連総会で採択された障害者権利条約の批准に向け、国内法整備の一環として制定された。13年6月19日に成立、16年4月から施行される。同法では、国や地方自治体、民間の事業者に対して、障害者の不当な差別的取り扱いによる権利利益の侵害の禁止や、施設のバリアフリー化など、性別や年齢、障害の状態に応じた環境整備などの合理的配慮を求めている。合理的配慮に関して、民間の事業者は努力義務にとどめられたが、実効性を持たせるため、国が差別解消のための指導や勧告権を有し、求められた報告をしなかったり、虚偽の報告をした事業者に対して、20万円以下の過料に処する罰則規定を設けた。また、国や地方自治体は差別解消のために必要な施策を実施することが義務付けられ、地方自治体は障害による差別問題を相談、解決するための障害者差別解消支援地域協議会を組織できることなどを盛り込んだ。政府は今後、何が差別に該当するか、基本方針を策定。各省庁はガイドラインを作成する。同法は施行3年目に施行状況の検討、合理的配慮などの見直しを行うとしている。