刑事訴訟規則に基づき、法廷での証人尋問を請求した検察官や弁護士が、その証人に対し事前に事件の事実関係や証言内容を確認する手続きのこと。主に検察官が検察側証人に対して行うものを指す。公判審理を滞りなく進めるために行われるもので、2009年に裁判員制度が導入されて以来、法廷での証言が重視されるようになったことから、特に検察などの捜査機関が証人テストに力を入れている。しかし、取り調べとは違い、録音・録画されないため、密室で証言の誘導や証人への圧力、司法取引まがいの交渉が行われる可能性が指摘されている。06年に大阪府東大阪市で起きた集団暴行・殺人事件では、証人テストの際に、証人が検察側から「死刑を無期懲役に下げるから」と利益誘導されて証言をした事実が判明。10年の宮城県石巻市3人殺傷事件の公判では、犯行に計画性があったかどうかが争点となったが、「計画性はなかった」と証言しようとする共犯の少年に対して、検察側が「犯行は計画的だった」と話すように強要したことが明るみに出た。こうした捜査機関の見立てに沿った強要や誘導を防ぐため、証人テストの可視化を望む声が上がっている。