神奈川県逗子市議会が、逗子海水浴場の安全と快適さの確保、近隣住民の生活環境の保全を目的として、2008年に制定した条例。正式な名称は、「安全で快適な逗子海水浴場の確保に関する条例」。近年、海の家で音楽を大音量で流して客が踊る「クラブ化」が生じ、13年7月には海岸で殺傷事件が起こるなど、風紀の乱れや治安が悪化したことから、14年2月に市が議会に条例改正案を提出。同月26日に条例改正案を可決した。改正によって、スピーカーを使って音楽を流すこと、海水浴場での入れ墨の露出、海の家以外でのバーベキューや飲酒などが禁止となった。条例に罰則規定はないが、従わない場合は退去するよう求められる。また、海の家の営業時間を2時間短縮し、午後6時半とすることも盛り込まれた。こうした条例の改正に対して、海の家の業者でつくる逗子海岸営業協同組合は、海の家での音楽の全面禁止は表現の自由を侵すものであり、営業時間の短縮は営業権の侵害にあたるとして、条例可決前の同年2月24日に改正差し止めを求め、横浜地裁に提訴した。