アメリカの大手製薬会社メルクが開発した不眠症治療薬。脳の覚醒を維持するオレキシンという神経伝達物質の働きを阻害して眠りを促すタイプで、オレキシン受容体拮抗薬という種類に分類される。これまで不眠症の治療では、催眠作用や不安を鎮める作用があるベンゾジアゼピン系の睡眠薬が主に用いられてきた。しかし、依存性の高さや、服用を続けると徐々に効きにくくなってくる耐性などの問題があった。スボレキサントの臨床試験では、従来の薬のような依存性や耐性は認められていない。また、オレキシンの働きを抑えることで、日中に強烈な眠気が襲ってくるナルコレプシーが生じることが懸念されたが、臨床試験では症状が確認されなかった。用量は成人が1日1回20ミリグラム、高齢者は1日1回15ミリグラムで、寝る直前に内服することとされている。日本では、メルクの日本法人であるMSD(本社・東京都千代田区)が2014年9月に製造販売の承認を取得。「ベルソムラ」の商品名で、同年11月下旬から世界に先がけて販売を開始する。