自宅などのある場所が、どの川の流域に属するのかを示す情報。または、それを調べ、認識する試み。岸由二・元慶應義塾大学教授が著書などで提唱する。市区町村などの行政区分ではなく、川を基準として考えることで、防災や環境保護などへの意識、関心を高めることを目的とする。例えば、自宅近くの川の上流で豪雨が発生した場合、従来の行政単位中心の考え方だと他の自治体での災害と受け止めがちになるが、流域単位の考え方なら自分にもかかわりのある事態だと認識しやすい。岸・元教授は、環境保護や治水、まちづくりなどを流域単位で考える流域思考に基づいた活動を長年にわたり実践。東京都町田市から神奈川県横浜市にかけて流れる鶴見川流域の環境保全、防災支援などを行うNPO「鶴見川流域ネットワーキング(TRネット)」を1991年に創設した。