胎児期にへその緒と膀胱(ぼうこう)をつないでいる尿膜管が出生後も体内に残り炎症を起こす症状。胎児はこの尿膜菅を通して、母体から酸素や栄養を受け取り、老廃物などを排出する。通常は、出生後に自然に退化して正中臍靭帯(せいちゅうさいじんたい)という組織に変化するが、まれに完全に退化せず、管のまま、あるいはスペースとして残ることがあり、そうした状態を尿膜管遺残と呼ぶ。特に症状が出ない場合も多いが、残った尿膜管が細菌に感染するなどして炎症を起こすと、腹痛や発熱などの症状を引き起こす。また、へそ周辺に炎症が起こり、そこからうみが出ることもある。炎症は抗生剤の投与などで抑えることができるが、症状が繰り返し起きる場合には、完治させるために残った尿膜管の摘出手術が検討される。2014年12月には、フィギュアスケート選手の羽生結弦が腹痛を訴えて、この病気と診断され、手術を受けたことが話題になった。