フランスで開発された認知症ケアの方法。英語の「人(Human)」と「態度(Attitude)」からなる造語。シャワーを立って浴びたい患者に、安全を考慮して寝たまま浴びてもらうなど、患者のためについ強制的な態度で行いがちになる介護を、人として尊重しながら行うことで、患者と介護者双方の精神的な負担を軽減させ、より効果的なものにすることが目的。フランス人の体育学教師、イブ・ジネストとロゼット・マレスコッティが2000年頃に確立した。ケアの柱は、患者を知り、理解するために、「よく見て」、「話しかけ」、「触れながら」、健康維持のために「安全に立って歩行できるようにする」の四つで、これらを基礎に150以上の技術がある。この方法を習得し、実践することで、治療や介護を拒否したり、態度を硬化させたりしていた患者と、良好なコミュニケーションを結びながら、ケアを進めることができる。医療・介護従事者だけではなく、介護にストレスを抱えている患者の家族にとっても有用な方法とされる。フランスでは400以上の病院や介護施設で導入されており、日本では、国立病院機構東京医療センター(東京都目黒区)の本田美和子医師が11年に渡仏して方法論を習得し、国内での普及に努めている。