2014年5月28日に、日本精神神経学会が発表した精神疾患の病名や用語に関する指針。13年5月に、アメリカ精神医学会(APA)が改訂した精神疾患の診断基準、「精神疾患の診断・統計マニュアル(DSM Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders)第5版」で示された病名を日本語訳にしたもの。日本精神神経学会の精神科用語検討委員会が精神科関連の15学会・委員会の代表者と組織した連絡会で検討。病名・用語を決める基本方針として、(1)患者中心の医療が行われるなかで、より分かりやすく、患者の理解と納得が得られやすいもの、(2)差別意識や不快感を生まないこと、(3)国民の病気への認知度を高めやすいもの、(4)直訳がふさわしくない場合には意訳を考え、アルファベット名はなるべく使わない、などが考慮された。児童青年期の疾患と不安に関する疾患では、「障害」が「症」に改められ、「注意欠如・多動性障害(ADHD)」が「注意欠如・多動症」に、「学習障害(LD)」が「限局性学習症」に、「パニック障害」が「パニック症」に、「大うつ病性障害」が「うつ病」とされた。そのほか、「性同一性障害」が「性別違和」、「アルコール依存」が「アルコール使用障害」、「神経性無食欲症(拒食症)」が「神経性やせ症」に変更。単独の疾患名だった「アスペルガー症候群」や「自閉症」は区分がなくなり、「自閉スペクトラム症」に統合された。同学会では、今後も病名・用語に関して検討を加えていくとしている。