眼球の内側にある網膜が、その下の層からはがれる病気。網膜は全部で10層の組織で構成されており、その最も内側にある網膜色素上皮から、それ以外の9層の神経網膜が眼球中心部に向かってはがれた状態を指す。一般に網膜剥離と呼ばれる場合、網膜の一部に穴が開き、そこから目の中にある液(液化硝子体)が網膜の下に入り込んで持ち上げることで剥離する裂孔原性網膜剥離を指す。ほかに、重度の糖尿病網膜症などで見られる牽引性網膜剥離や、ぶどう膜炎などで見られる滲出性網膜剥離がある。裂孔原性網膜剥離では、打撲などの目の外傷が原因となるケースがあるが、直接的な要因がなく発症することも多く、強い近視の人がかかりやすい。また、年齢層で見ると、10~20代と50~60代に多いとされる。網膜がはがれても痛みはないが、視野に黒い虫が飛んでいるように見える飛蚊症や、目をつぶった状態でも閃光が見える光視症などの症状が出ることがある。さらに剥離が進行すると、視力の低下や視野の一部欠損が起こるようになり、治療を受けなければ失明に至る可能性が高い。網膜に穴が開いただけであれば、レーザーや冷凍凝固で穴をふさいで進行を抑えることも可能だが、剥離の発症後には手術が必要とされる。