日本の人口や世帯、産業構造などの実態を明らかにするために、総務省が5年に1度実施する国の最も基本的な統計調査。福祉政策や選挙制度などの基礎データとして用いられる。西暦末尾が5の年に簡易調査、末尾が0の年に大規模調査が行われる。2005年の調査時には、総人口が戦後初めて前年推計値よりも減少し、人口減少社会が問題化した。しかしその後の総人口はほぼ横ばいで推移し、10年調査では05年調査に比べ28万8000人増加している。2016年2月26日、15年10月に実施された国勢調査の人口速報値が発表され、日本の総人口は1億2711万47人と、前回の10年調査時から94万7305人減少した。国勢調査の数値において、前回調査よりも人口が減少したのは、1920年の調査開始以来初めて。同省では、死亡者数が出生者数を上回る自然減が大きくなり、日本が人口減少局面に入ったとしている。人口が増えたのは、東京圏(東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県の1都3県)のほか、愛知県、滋賀県、福岡県、沖縄県の8都県。その他の39道府県では人口が減少。市町村でみると、全国1719市町村のうち約82%にあたる1416市町村で減少している。一方、東京圏の人口は3613万人と全国の約28%を占めており、人口が減少する地方との二極分化が一層強まっている。世帯数は5340万3226世帯で、前回調査より145万3000世帯増えたが、世帯規模は前回より0.08減の2.38人と、核家族化がさらに進む結果となった。また、2015年国勢調査の結果に基づく試算によると、衆議院議員選挙の選挙区における1票の格差は最大2.334倍。定数削減に関して、衆議院議長の諮問機関である「衆議院選挙制度に関する調査会」が答申で示したアダムズ方式を当てはめると、選挙区の「9増15減」が必要との結果となった。アダムズ方式とは、各都道府県への議席の配分方式の一つで、都道府県ごとの人口を一定の数値で割り、小数点以下を切り上げた値の合計が小選挙区選挙の定数と同じになるようにする計算方法。