2015年11月30日から12月13日までフランスのパリで開かれた国連気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)で採択された20年以降の国際的な地球温暖化対策の枠組み。1997年の第3回会議(COP3)で採択された京都議定書が先進国だけに温室効果ガスの排出削減を義務付けたのとは異なり、途上国を含む196全ての条約締結国・地域が削減に取り組むこととなる。世界全体の気温上昇を産業革命前に比べ2度より十分に低く抑えることを目標とし、1.5度未満に収めることを目指して努力するとした。その上で、21世紀後半には人為的な温室効果ガスの排出量が森林や海による吸収量と均衡する状態にすることを目指す。そのために、全ての参加国に温室効果ガス削減目標の作成と国連への報告を義務付け、2023年からは5年ごとに目標を見直すとともに、世界全体の進捗(しんちょく)状況も検証する。ただし、目標達成の義務化は見送られた。争点となっていた先進国から途上国への資金支援については、引き続き先進国が資金支援の義務を負うが、新興国などの自主的な拠出も促す。具体的な金額は協定に盛り込まず、法的拘束力のない別の文書で年間1000億ドルを下限とする新しい数値目標を25年までに設定するとした。ほか、地球温暖化による被害軽減の世界的な目標を定め、途上国で起きつつある被害の救済策にも取り組むとしている。協定は少なくとも55カ国が批准した上で、批准国の温室効果ガス排出量が世界全体の55%に達することを条件に発効となる。16年9月3日、温室効果ガス排出国1位の中国と2位のアメリカが批准を発表。その後、インド、EU(欧州連合)も批准して、10月5日時点で73カ国が批准し、排出量が56.87%と発効の条件に達したことから、規定により30日後の11月4日に発効することとなった。日本は批准が遅れており、詳細なルール作りで不利な立場になりかねないと懸念されているため、11月7日からモロッコのマラケシュで開催される第21回締約国会議(COP22)までの国会承認を目指す。