国連の「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」の第2作業部会が、地球温暖化の影響と対応策をまとめた報告書。2014年3月31日、横浜市で開催されたIPCCの総会で7年ぶりに改定され、公表された。同報告書によると、生産地での気温が20世紀末より2度上昇すると、米や小麦などの主食となる穀物の生産量が減少し、4度以上上昇すると、世界的な食糧危機を招き、紛争につながる恐れがあるとしている。水産資源においても、海水温の上昇で、サケ類の南下やサンマ、ブリなどの回遊にも変化が起こり、従来の漁場での捕獲ができなくなることを指摘。複数の地域や分野に及ぶリスクとして、海面上昇による高潮や沿岸洪水、大都市部への洪水による深刻な健康被害や生計崩壊、極端な異常気象によるインフラのまひ、都市部での熱波による死亡や健康被害、気温上昇や干ばつなどによる食料危機、水不足による農業生産の減少、熱帯や北極圏の海洋生態系の損失など、8項目を列挙している。報告書の発表に際して、IPCCのラジェンドラ・パチャウリ議長は、温暖化について、何も手を打たなければ、取り返しのつかない影響が出ると、警告した。