飲酒が引き起こす健康被害の防止や被害者への支援、一般への啓発などを総合的に推進するための法律。2010年5月に世界保健機関(WHO)で「アルコールの有害な使用を低減するための世界戦略」が決議されたことを受けて、日本国内でアルコール依存症問題などに取り組む団体や関連学会が国会議員に働きかけ、超党派のアルコール問題議員連盟が立案。13年12月の臨時国会で成立し、14年6月に施行された。同法では、アルコール依存症のほか、多量の飲酒、妊婦や未成年者の飲酒などの不適切な飲酒の影響による心身の健康障害をアルコール健康障害と定義。障害の発生、進行、再発の防止対策や、障害がある人とその家族が円滑な生活をするための支援、障害に関連して生じる飲酒運転、暴力、虐待、自殺などの問題への対策を行うことを基本理念とする。そのうえで、国に対しては、具体的な目標や達成時期を定めたアルコール健康障害対策推進基本計画を施行後2年以内に策定することを義務づけ、都道府県には国と連携しながら地域の実情に即した推進計画を策定することを求めた。また、酒類を製造、販売、提供する事業者には、不適切な飲酒を誘引しないよう、表示や広告、販売方法に注意を促すことなども盛り込まれた。そのほか、毎年11月10日から16日をアルコール関連問題啓発週間とし、同法の趣旨に沿った活動を行うことも定められた。